白泉社メロディで連載中のよしながふみ作「大奥」
男女逆転した大奥のことを描いた漫画です。
映画にもテレビドラマにもなっています。
テレビドラマ版の「有功・家光編」と映画版の「右衛門の佐・綱吉編」は見たことがあるのですが、原作である漫画は今回はじめてみました。
なんかもう人間の心理描写が切なくて、男女の立場が逆転しても男と女の関係は切ないんだなと思いました。
ここでは、よしながふみ作「大奥」あらすじと感想をネタバレなしで紹介しています。
大奥 ネタバレなしであらすじを紹介
江戸の世。
なぜか若い男子のみがかかる赤面疱瘡という奇病が流行り、男子の人口は女子の4分の1にまで激減した。
そのため男子は赤面疱瘡にかからぬように、家の奥で大切に育てられ、女が家業も子を産むことも子育てもすべてを行う世の中となる。
そして夫を持つということは大変な贅沢なことで、武家や裕福な商人などの特権となった。
そんな世の中で、江戸城大奥はただ一人の女将軍のためにいく人もの男が仕える場所。
大奥は女将軍の寵愛を得て、将軍の父となるために男たちが争う世界となっていた・・・。
大奥 ネタバレなしで感想を紹介
いわゆる逆ハーレム状態のお話ですが、そんなに甘い話ではなくただ一人の女将軍をとりあう世界になるので、なかなか悲しい話あり、男の醜い嫉妬もありな感じです。
一人の男の人を女がとりあう話はよくありますが、そんな話を読んで「男っていいよね、ずるいよね」なんて思っていましたが、男女が逆になると今度は男もかわいそうだなと思うようになります。
女将軍の側室になるために大奥にきても、その女将軍に気に入られなければ大奥ですることがないんですから。
世継ぎを産むことを求められる女将軍
そして女将軍もなかなかかわいそうな立場です。
女将軍に求められるのは「世継ぎを産むこと」
世継ぎができるまで、男と夜をともにしなければならないんです。
たとえ好きな人がいてもその男性との間で子供ができなければ、他の男との間に子供をつくらなくてはいけない。
そんな男女のの悲喜こもごもが「大奥」では描かれています。
キュンとするような甘酸っぱい恋愛話はいっさいありませんが、人の心理描写がとってもうまくて「確かにこの状況ならこんな態度をとってしまうかも」と納得するようなエピソードがたくさんありました。
男女逆転なのにうまく史実とあっているストーリー
そして男女逆転しているのにうまく史実とストーリーがあっていて、漫画の中で公式の記録としては将軍は男だったと書かれているので、「もしかしたら江戸時代は本当に男女逆転の世の中だったかも」とさえ思わせてくれます。
それだけストーリーに違和感がなくて、男女逆転の世界をとてもうまく物語にしています。
絵も女将軍がみんな美人というわけではなく、美人もいればちょっと・・・の人もいてそれぞれの人物がとてもいきいきと描かれています。
3代家光から歴代の将軍を描いていますが、たくさん登場人物がいるのに、きちんと描き分けされているのでこれ誰だっけ?と混乱することがほぼないのもすばらしいです。
歴史ものが好きで、人間の心理を描いた作品が好きな人ならきっとはまると思いますよ。
ちなみに一巻の半分くらいまでは、赤面疱瘡がどうやって流行したのかと、大奥での新参者にたいするいじめしか描かれていないので、この大奥を読み進めるか決めるには、1巻全部を読んでもらいたいです。
下のサイトではその一巻の半分くらいまで無料で立ち読みできるので、見てみてくだしい。
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